会長からのご挨拶
奈良県臨床心理士会 会長 石田陽彦
皆様が「こころの専門家」と言うことばを耳にされるようになってから、どれくらい時間が経ったでしょうか?そして、その間、皆様の生活に「こころの専門家」である臨床心理士がどのようにお役に立ってきたでしょうか?
直接お会いすることでお役に立てたこともあったかもしれません。でも、もしかしたら「いや、よく知らない。私とはあまり関係の無い存在。」と思われている方も数多くいらっしゃるのではないかと思います。
そのような「あまり関係ない」と思われている方々にも、実はいろいろお役に立っているのです。学校で大きな問題が起きる前に、こども達の学校生活が ストレスの場にならないように環境を調節すること。家庭や家族の人間関係の場がストレスの場にならないように地域に根ざした活動すること。また、最近では 産業界においても、職場における人間関係によって引き起こされるストレスをマネージメントすることなど、私たち臨床心理士は、皆様の目に直接触れないさま ざまな社会システムの中で、皆様の幸せのために活動しているのです。
ただ、もし、皆様がご自分だけでは抱え切れない困難に遭遇されたり、身動きできないような苦しみにぶつかってしまわれた場合には、私たち臨床心理士は、直接手助けさせていただきたいと考えています。
どのようなこころのトラブルも「病」としてではなく、それぞれの方が生きていく上での大切な事柄に違いないもの、と受け止めていくのが臨床心理士の基本姿勢です。
自分の人生や生活に真剣に向き合う人であればこそ、苦悩が生まれてくるのだと思います。ですから、悩むことは決して悪いことでないのです。人生に真剣に向き合って、悩むからこそ新しい道が発見されると考えています。
どうか臨床心理士に声をかけてみてください。
われわれ臨床心理士は、自分をどのように見つめてどのように切り開いていこうとされるのか、そんな皆様のチャレンジを専門家としてお手伝いさせていただくことを役割としています。